親友へのメッセージを動画にこめて

わたしは末期ガンです。もうすぐ死にます。わたしにはもう長いこと会っていない、親友、と呼ぶ資格がわたしにあるかどうかわかりませんが、とある知り合いがいます。もう自由に出歩いたりする事はできないし、連絡先も知らないので、もう会う事も会話する事も叶わないでしょう。

ですが、このまま死ぬわけにはいかない、ちゃんと謝らなければ。彼に自分の言葉で、自分で謝らなければいけない。そんな時に力になってくれたのがYOUTUBEでした。

YOUTUBEさんには入院中に大変楽しませていただきました。身寄りのないわたしには、患者仲間とインターネットがとても大事な心の支えでした。
ネットをひらけばたくさんの楽しい動画やニュースがあふれていて、とてもわたしを元気づけてくれたものです。とくにYOUTUBEにはたくさん笑わせてもらったし、たくさん感動させてもらった。
どこかの国の若者がフィアンセにプロポーズする動画や、へんてこなダンスだけで世界をつなげようとする男性の動画や、身の毛もよだつ恐ろしい恐怖映像、本当に気持ちをなごませてくれたり感動させてくれたり、わたしの心をうごかしてくれました。

そしてわたしはこのYOUTUBEに、親友へのメッセージを公開しました。
ごめん、友よ。いつか君がこの動画を見てくれると信じて。
わたしは犯罪者です。わたしは人を殺しました。そして逃亡生活を続けています。心身ともに限界だ。様々なまちでバイトをし、インターネットカフェを寝床にし、また次の街へ移る。こんな遊牧民のような生活を4年続けています。
こんな生活をつづけているともうネットが友達みたいなもんで、YOUTUBEさえ見れればおれはもうどこででも暮らしていけるだろうというとこまできています。しかしこんな生活、身体がもつのもあと数年だろう。道端で野垂れ死にかもしくは被害者遺族に殺されるか。もう死ぬのは怖くない。けど、一つだけ心残りがあります。

わたしにはかつて、唯一、親友、と呼ぶ資格がわたしにあるかわからないが、本当に大事な友達がいました。そいつに一目あいたい。そいつはきっと自分を責めている、俺も若かった、恨んでなんかいない、むしろごめん、ごめんと言いたい。それだけが心残りだ。そう思って今夜も6泊目のネットカフェでぼーっと見ていたYOUTUBEに、うそだろ!あいつが、あいつの動画が。

すぐに病院を調べ電話をかけたが、あいつは一方的にYOUTUBEで俺に謝罪なんかして、逝きやがった。次の日わたしは自首しました。